オランダでお花見してきました in 桜公園

満開の桜の木の下で

儚き美しさを宿した満開の桜の木の下で、人々は本当に穏やかな表情をしていました。

それは国や文化という境界を超え、人が人として他者と隣り合える
温かな場所でした。 

エッセイ形式で、話題があっち行ったりこっち行ったりしますが、
しばしお付き合いいただければ幸いです。

 

桜を愛でたい。地球のどこにいても

はじめましての方、ようこそ!
読者の方、おかえりなさい!
通りすがりの方も、WELCOME ☆

どうも、美和子です。
タイへの交換留学やアイルランド大学院留学を経て、2020年の夏からオランダに暮らしています。

2022年3月26日(土)、夫と、共通の友人と、私の3人でドルドレヒトから遥々、電車とバスを乗り継いでアムステルフェーンまで桜を見に行ってまいりました。

最後に日本の桜を見たのはいつだったでしょう。
思えば2016年以来、日本で桜を見られていません。

総武線と桜

あの年、私は片道チケットを手にアイルランドに渡航しましたが、まさかこんなに長い「旅」になるとは思ってもみませんでした。
たった一年の学業のはずが、その次の年には就職し、もうちょっと長居したと思ったら彼(つい最近、夫になりました)と出会い、なんだかよく分からないうちにオランダに住んでいて、今年でヨーロッパに住んで6年目。

ハッとするような桜の木に、異国の地で不意に出会ったことはあります。

ダブリンで見た桜
Mount Street Lower(マウント通り下)を歩いていたら、細い路地の向こうに懐かしいピンク色の花が風にゆらゆら揺れていました。
引き寄せられるように歩いていって、立派な桜の大木に挨拶されたときの一枚。
2018年04月14日 ダブリン、Stephen’s Pl.(ステファンズ・プレイス)にて。

こちらは葉桜になってしまっていましたが、また桜の木に会うことができました。

アイルランドで開催された日本のお祭りにて
2018年4月22日「Experience Japan Festival」(日本をテーマにアイルランドで毎年開催されるお祭り)にて。

桜はどこにいても、日本人の魂をふるわせます。
とはいえ、生まれ故郷で愛でる桜って、やっぱり格別(^-^

一時帰国は2017年、2018年、2021年と3回していますが、帰ったのは3回とも秋か冬で、日本で見る春の満開の桜はこれまでずーっと、お預けです。

私が「桜が恋しい。また季節が巡ってきたね~」と言っていると、
相方は不思議そうに首をかしげながら
「日本人はなんでそんなにも、ピンクのお花にこだわるの?もちろん文化は尊重するけど、率直に言えばボクにはその感覚っていまいちピンと来ないんだよねぇ」
と本音を漏らしました。

本音を言ってくれるのは、近しい仲だからこそと思いつつも、若干複雑な気持ちになる私。。

国際都市ダブリンで暮らしていたときは、私が「日本から来ました」と言うと
海外の方は皆、目を輝かせて「日本文化は素晴らしいよね~」とか、「桜!いつか僕・私もこの目で見てみたいよ」とか、嬉しいことばかり言ってくれていたことが頭によぎりました。
それを思い返して、彼らがお世辞なのか、本気で言ってくれていたのか、分からなくなって少し戸惑ったのと同時に、
本気で言ってくれていたにしても、桜を見ることというのは、お花見という文化が心にきゅんと来る大事な位置を占めているのではなくて、ただ「バケットリスト」(人生でやりたいことリスト)に入っているからというだけのことなのかな、とか余計な想念が頭を一瞬にして駆け巡りました。

お花見は日本人特有のものなのでしょうか。

「相手がたとえ夫であったにしても、価値観の異なる誰かにこちらの考えを無理に押し付けるのは違う。それは不要な努力である」と私は心得て、
その後は桜の素晴らしさについて熱心に説得することを諦めたのでした。

  

完璧なタイミング

桜と青空
ケルセンブルーセム公園

日本人の心をやさしく癒す、桜。
本格的なお花見が5年以上できておらず、私は悶々としていました。
日本で見るのがベストではあるけれども、そろそろ本格的に見られるところに行きたい。そう願っていたのです。

「オランダなら日本と繋がりが昔から濃いから、どこかにちょっとしたお花見スポットがあるかもしれないな」
そう思って、オランダ国内で探そうとしていたタイミングで、職場の日本人の先輩が
「絶好のお花見スポットがオランダにあるよ。ぜひ一度は行ってみてください」
と、最高のタイミングで場所を教えてくださったのです。
私が話題にするよりも先に、です。
素晴らしいタイミングに神さま仏さま…ありがとうございます(泣)
もちろん先輩に、大感謝です。

でですね、肝心の場所とは、アムステルフェーン(アムステルダム近くの街で、日本の方が多くお住まいです)にある「ケルセンブルーセム公園」(Kersenbloesempark)です。
※ Kersenbloesempark(蘭) = Cherry blossom park(英)で、日本語では通称「桜公園」と呼ばれています。

「ケルセンブルーセム公園」って、
めちゃくちゃ覚えにくい名前ではありませんか。。
私は速攻メモして、相方に提案しました。

「ね、週末、桜見に行こうよ!」

夫「まあ、いいよ~」「でもちょっとゆっくり過ごしたいかなァ。。」
私「じゃあ土曜日に桜見に行って、日曜日はゆっくりしよ」
夫「ん~~~、そのときに考えよう」

提案をかわされてるんだか、何なんだか。。

基本的に、ヨーロッパ人が言う「そのときに考える」(we’ll see)は全くもって当てにならない。
予定を記号で表すなら、それはほとんど「×」に近い「△」なのです。
夫に限らず、これで何度予定が立たなかったことか。

この機会を逃したら、次は来年になってしまう。一年待って、満開の日が雨なんてこともあり得る。。

私は粘る。
「来週は雨とか曇りみたいだよ、雨降ったら桜が散っちゃうよ…」
こう言ったのが効いたのか、
彼は「暖かいんだったらいいよ」と、若干上から目線でその予定を許可してきた。
微妙にイライラするぅ~~。

何はともあれ、予定が一応立って私はホッとひと安心しました。

美意識は文化を超えて

花盛りのアムステルフェーンを歩いて、公園に向かいます。

木蓮の花が咲き誇るアムステルフェーン
木蓮と煉瓦造りの建物が道端を彩ります

「どうせ2、3本の“ピンク・ツリー”を見にいくだけでしょ」
と、行く時は超~面倒くさそうにしていた相方(やっぱり夫、と書くのはどうも慣れない…)も、目の前に広がる桜の絨毯を見て態度が一変w
急に嬉しそうにしていました。

桜が満開!
遊歩道を歩いた先には、満開の桜が広がっていました
平和な昼下がり
平和な昼下がり

様々な国籍の人たちが、思い思いに過ごしています。

賑わっています

撮影会も、至る所で行われています。
私もそれに乗っかって、パチリ。

私もちょっとだけ写真撮影

この日は急に春めいて、日向ぼっこが気持ちいい日でした。

日向ぼっこ

やわらかな芝生の上で十分に寛いで、
そろそろ出ようかと歩き始めたときのことです。
昼間から夕方に変わるときの、ヒュ~ッという少し強い風にふれて、桜が宙に舞い始めました。

桜が雪のように勢いよく舞い散る様を見て、ドッと歓声が渦巻いたその瞬間、
私は人間の心に共通して芽生えている、一つの美意識を見た思いがしたのです。

「お花見は日本人だけのもの」
そう心のどこかで持っていた先入観は、桜吹雪とともに散っていきました。

花見からHANAMIへ

様々な国籍の人たちが隣り合って平和に寛ぐ
古今東西、変わらないものを桜公園は教えてくれたように思います。

お花見は日本文化であることを超えて、世界に開かれていました。

桜公園では様々な国籍の人たちが一つの場所に集まって、思い思いに時を過ごしており、
桜の爽やかな香りと春の温かな太陽の光に包まれて、皆が高揚感に溢れた様子でした。
お花見は日本人の心をくすぐる行事かもしれませんが、
桜の良い香りに包まれながら、そのひと時を楽しむその心は、万国共通なのかもしれません。

桜の下で、皆が高揚感に包まれていました

肌の色や話す言葉、価値観、宗教に、勝ち負け。
そういったことは公園の外に置いて、日常の義務や肩書きからも解き放たれて。ただそこに佇んで、時と場所を共有する。

ケルセンブルーセム公園は世界中の人々が、一か所にぎゅっと集められたような、地球の縮図みたいな場所で、私はあの空間を「地球村」と呼びたくなりました。

今年も日本で桜を見ることは叶いませんでしたが、オランダで花見をしたことで思いがけない学びがあり、素晴らしい経験をさせてもらったなと思っています。

「ボーダレスに、響き合う。」を一つのコンセプトとしている本カテゴリー。
日本を代表とするような文化である「お花見」の記事をなぜ、『魅惑の異文化体験』カテゴリーに入れたのか、疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、
お花見が日本という地理的・文化的な制約をすでに飛び越えて、HANAMIとして海外で愛されていたことを筆者は目の当たりにし、
あの空気感をぎゅっと閉じ込めて、逆輸入的な感じでエッセイとして皆さんにお届けしてみたいなと思ったからです。

 

長い冬を越えて人々を暖かく包む春のように、この世界も優しさに満ちたものになりますように。

平和を祈って、今日は筆を置きます。

 


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私がアイルランドに渡航した経緯についてはこちらをご覧ください:
About – MiwaKosmic | 異文化は癒しだ
プロローグ – MiwaKosmic | 異文化は癒しだ

2020年夏、私とパートナーはアイルランドから彼の故郷オランダへと、数々の困難を乗り越えて移住を果たしました。
シリーズ『オランダ移住劇2020』では、その一部始終をえがいています:
Ep. 1 オランダ移住当日。アイルランド生活最後の日 その1

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国際的な暮らし方に付随する課題や心の葛藤も包み隠さず、記事にしています^^
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