オランダ移住をした美和子です。
2020年の夏にアイルランドからオランダに渡航してから、
ホームシックに相当参っていた私。
「郷愁の念」の記事ではお騒がせしました。
【注目記事】『海外在住者の哀しみ。郷愁の念とコロナ時代』
前回の記事では近況と、一時帰国(2021年10月)を決意するまでの葛藤をお伝えしました。
エッセイ形式で、話題があっち行ったりこっち行ったりしますが、
しばしお付き合いいただければ幸いです。
柔らかな成田の風、丸3年ぶりの日本
美しい九十九里浜が見えて、千葉の上空に入った途端、
ご先祖さま達から、「お帰り」のコーラスとともに、光に包まれるような感覚があり
私のパパやママも、「きっとそうだよね」と言ってくれました。
成田空港に降り立ったときの、頬を優しく撫でた柔らかく、あたたかな空気。
あの感動は今でも忘れられません。
もう10月なのに(というのもこの時期オランダやアイルランドでは、首都圏なら11月並みの寒さ)暖かい、というか暑いくらい!
外を見ると真っ青な快晴で、日本の神様仏さまがもしかしたら、久しぶりの帰省を歓迎してくださっているのかな。
そんな風に思えてくるほど、空は澄んで輝きに満ちていました。
ところで、2019年12月のクリスマスに家族がダブリンに訪れてくれたのを最後に、あれから1年と10か月が経過していました。
長いPCRなど諸々のチェックを済ませ、検査結果の通知はもうドキドキ・ハラハラ。
これで陽性なんてことになれば、目と鼻の先にいる家族に会えずにしばらく隔離されてしまう。そんなことは絶対に避けたかったのです。
無事に「陰性」の証明をもらったとき、私はとてつもない安堵感に包まれました。
そしてウキウキした気持ちが最高潮に達したところで、外界へと通じるドアをくぐると、そこには家族が待ってくれていました。
約2年振りに家族とようやく会えた喜びはひとしおで
しかも妹がお花をプレゼントしてくれて、さらに嬉しくなりました。
勢い余った。
さて、張り詰めていたときの当時の状況を一通り書いたので
ちょっと、ゆるめましょう。
話題は打って変わって、
日本滞在中のおさかな事件について書こうと思います。
日本のお魚、美味しくてたまらなかったんですよ!
もう嬉しくて、嬉しくて。
本当~に久々に、母の手料理が食べられるだけでも飛び上がるくらい嬉しいのに、それに加えて
イワシのつみれがお味噌汁に入っていたのが最高に!美味しくて、
しかも3年ぶりに観るテレビ番組が面白いし、もう楽しいことだらけ。
お味噌汁を(たぶんあまり噛まずに)ツルツル〜って、テレビ見ながら爆笑しながらばくばく食べていたもので
次の瞬間、トゲトゲが喉の奥に命中!
その瞬間はそれほど痛みもなく、
私はまるで何事もなかったかのように平静を装い、食事を続けていました。
大ごとになるのも嫌だし。
特に何も言わず、しばしそのままテレビを観つづけていたのですが、
どうも喉の違和感は一向に良くならない。
美和子、困った。
ただ、あんまり長い時間秘密にしていたところで、かえって切り出しにくくなるだけなので、
ポーカーフェイスで私は真実を告げることに。
「なんか今、魚の骨が喉に刺さっちゃったみたい」
内心、「これはなかなかにヤバイ」と思いつつも、
言い終わった後に動揺を見せると、「事態は深刻だ」と捉えられて受け止める方も焦るだろうと考え、
あくまでケロリとした顔を保つように心がけました。笑
みんなで、どうやったら取れるのかをその場でググると
「白米を飲み込むと良いと言われるが、実は間違い。
さらに魚の骨がめり込んでしまう場合がある」とのことで、
「常識」と思われていたその術はなかったことになり、、
今日はもう遅いし、打つ手なし。
もし明日になっても同じような違和感があれば、耳鼻科に行こうと決めて、
喉のトゲトゲ感については、その日はあっさりと忘れることにしました。
(読者の皆さまには、なるべく早くお医者さんに行くことをおすすめします)
美味しいお魚にはご用心
翌朝起きると、違和感はすっかり消えていました。
「やったぁ」と思って
ついテンションが上がる。
そして先に起きていた父に
「おっはよう!」
と声を発した途端、昨日のあの違和感が喉のど真ん中にカムバック!!
「クゥ~~、やられたか」
内心呟くも、時すでに遅し。
敵は喉元に潜んで離れません。
いや、もうお腹の中で溶けているかも分からないので
期待はまだ捨ててないですよ。
いずれにしても、お医者さんには診てもらわなければ。
近所の耳鼻科がいつの間にかWEB予約システムに変わっており、確認してみると予約がなんと17時しか空いていない。
朝の時間、なるはやで行きたいのに…
他のクリニックも探しているうちに、その17時枠も予約が埋まってしまい…
大ピンチ。。
そんな中、「こうなったら電話した方が早いんだから」と母が速攻電話してくれて、クリニック側は魚の骨ならば早く見た方が良いと判断してくださったのか、予約なしだけど早めに来てもらえるよう言われました。
めちゃくちゃ警戒しながらも、つみれの具なしのお汁だけは朝ごはんとして
美味しくいただきまして、
(懲りない人だ、と自分自身に半分呆れましたが)
その後大急ぎで支度して、父の車に乗り込みました。
クリニックには数分も経たないうちに到着。
(このときには既に陰性証明が出て、自粛期間が明けていました。念のため。)
受付では「予約ないんですが…」と前置きしたうえで、
「日本に一時帰国して、調子に乗ってお魚食べてたら、喉に骨が刺さってしまったようでして…もう取れていれば良いのですが、念のため検査しに来ました」
と伝えると、受付の女性はほんの一瞬、困惑した様子で固まっていたけれど、
吹き出し笑いとかしないところ、さすがプロでした。
しばし待合室で呼ばれるのを待って、いざ診察へ。
息つく暇もなく始まりました。
「え〜~って言いながら舌を出して」と言われ、舌を思いっきり引っ張られながら舌の奥を何かの器具で押さえられて、喉の奥を見られるという
初っ端から拷問のような診療で、
先生が終始優しいのはせめてもの救いでしたが
嗚咽を頑張って抑えるも、むせるのが止まらない。
しばし「探索活動」を行うも、なかなか敵が見えないものだから、先生ですら存在を疑い始めていました。
「これ、もう抜けてお腹に落ちているんじゃなかろうか。早く終わりにしましょ」とそんな淡い期待を抱く自分と
「こんな違和感、絶対に喉のどこかに敵が潜んでいるに違いない!今探さないで、いつ見つかる」と粘るもう一人の自分が
私の頭の中で口論を始めた矢先、
先生が突然アイツを発見!!!!
一瞬だけ驚いたあと、
あくまで落ち着いた口調で
「あった。」
ちょっぴりシュールでしたが、私本人はそれどころではなく…。
その頃には、反射か何だか全く分かりませんが、すでに目から大粒の涙が滝のように湧き出していました。
悲しいとかではなく、ただ止まらないのです。
それを見かねたのか、先生が
「舌、自分で引っ張ってみて」と言いました。
そうです。敵が発見されただけで、引っこ抜く作業が残っています。
言われるがままに、自分自身で舌を
「え゛〜」
と引っ張っているうちに(これがめちゃくちゃ辛かった)、
先生は光のような速さでアイツを捕獲!
ピンセットでヒョイと骨が抜けました。
先生はおもむろに、ピンセットで抜き取ったままのソレを私の目の前で見せると、
喉元から抜き取られた敵は、ふわふわとしたイワシのつみれには
あまりにも似つかわしくない、
長さ7mmくらいありそうな太くて立派な「小骨」でありました(泣)
慌てて準備して、早めに来て正解でした。
本当に骨が喉の奥に刺さっていてびっくり!
それも、男性で言えば喉仏のあるような、非常〜に深い場所にあったのです。
涙が頬をバァーッと伝って今にもこぼれそうな私の顔を見て、
微笑を浮かべながら先生は諭すように言いました。
「よく噛んで食べましょうね」
喉のヒリヒリが抜けた安堵と、幼稚園児が聞くようなアドバイスすら守れていなかった自分の不甲斐なさに、私は
「はぃ」
と力なく答えるほかありませんでした…。
海外在住者の方、またそういった方と交流のある方々へ。
魚を食べる機会がありましたら、
「オランダ住みの人が、久しぶりに日本で食べる魚の美味しさに感動して早食いしていたら、大変なことになったらしい」
と思い出してくださいまし笑
日本に一時帰国すると決めてからは、それまでの困難とは裏腹に
水際対策の緩和などを含めて、色んなことが不思議なくらいスンナリ動き始めたので、
このお魚事件はきっと、私が調子に乗り過ぎないようにするために受けた
神様仏さまからの忠告だった、ということにしておきましょう。
こういった「プチ厄落とし」(?)も含めて、
何か大きな存在に守られているかのような一時帰国でした。
縁起が良いとされる鳳凰の雲を日本滞在中に拝むことが出来ました。
発見したときは思わず息を吞むほど、神秘的な光景でした。
【前回の記事】
『【コロナ禍の一時帰国】困難を突破して果たした念願の渡航』
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私がアイルランドに渡航した経緯についてはこちらをご覧ください:
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プロローグ – MiwaKosmic | 異文化は癒しだ
2020年夏、私とパートナーはアイルランドから彼の故郷オランダへと、数々の困難を乗り越えて移住を果たしました。
シリーズ『オランダ移住劇2020』では、その一部始終をえがいています:
Ep. 1 オランダ移住当日。アイルランド生活最後の日 その1
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