「ユニークだね」
それは褒め言葉でもあり、誰かを「変わった人認定」するモヤモヤワードでもあります。
思えば、私は小学生の頃から、漠然とした「馴染めない感」に悩んでいました。
「美和ちゃんはユニークだよね~」は有難く受け取りつつも、同時に「なんで?」と。
「どこでどうやって変わっているのか、教えてほしい」となんだか、やり場のない気持ちを抱える日々。
なるべく目立ちたくないので、毎日ひっそりと息をひそめるようにして過ごしていましたが、これには子供のときからもう、辟易していました。
空気を読む「べき」とか、主張したら嫌がられるから大人しくしている「べき」といった、
無言の圧力みたいなものが、苦しくてたまらなかったのです。
「無言の圧力」や「暗黙のルール」というものは、大人になるにつれて、より威力を増していくようにしか感じられませんでした。
大学4年の秋ごろだったでしょうか、数千人の人波に囲まれながら、とある東京ど真ん中の駅でふと、
「私がいなくなっても、誰か他の人が簡単に見つかるのかな」
「大勢が同じところを目指して、いったん競争から脱落したら、代わりってたくさんいるのだろうか」
そんな疑問がふと頭に浮かんで、あれこれ考えるうちに、生きる喜びが自分の中から消えかかっていくようで、怖くなりました。
東京を歩けば、大学生はみんなが喪服みたいな黒いスーツに身を包み、入社面接を受けに都内を飛び回るのが目に映る。
周りの大人たちも一様に、どこか急いでいる…。
私は、就活をやめました。
大学を出る前に就活して、卒業したら即、社会人として毎日12時間働き、休暇は年1週間くらいが限度。
常に暗黙のルールに照らして、人をふるいにかける。
そんな風潮に支配されるのはもう、こりごりでした。
周りのペースに無理やり馴染もうと努力するのは、これで終わり。
「当たり前」とされてきた社会の常識からいったん外れてみて、世間のいう「当たり前ではない」生き方を、体現してみたい。
「きっと、別の道があるはずだ。」
信念を胸に、大学院へ進むため猛勉強に明け暮れました。そして年が明けて、桜のつぼみが膨らむ季節に嬉しいニュースが。
University College Dublinへの受け入れが認められたのです。
UCDからの奨学金の知らせと合格通知を手にして、私はますます前へ進む勇気が湧いてきました。
これからは、自分らしさを取り戻していこう。新天地で、私は心機一転、自分の道を切り拓いてみせる。
片道チケットを握りしめ、私は日本からヨーロッパへと旅立ちました。
小さな首都、ダブリン。例えるなら、港区、中央区、江東区に江戸川区の4つの地域を併せたような、控えめサイズ。
この「港町」めがけて、世界各地から多彩な人たちが集まっています。
流れに乗るようにして、初めてのヨーロッパ暮らしで多国籍シェアハウス生活は幕を開けました。
意気揚々と降り立ったダブリンですが、寮は「うなぎの寝床」みたいだし、外は肌寒くて、曇ってばかり。
生活力もそんなにない私が、慣れ親しんだアジア圏からひとり飛び出して、家事をこなしたり、ビザを得るための書類を準備したりするのは楽ではなく、自分の意思で海外に来たものの幾度となく挫けそうになりました。
道のりは決して平坦ではありませんでしたが、思い切った決断によってそれまでに停滞していた何かが動き始めるのを感じました。
現実をより良い方向へと動かし得る、計り知れない力が自分の中にもあると気付いたのです。
多様なバックグラウンドを持った人たちと共に暮らし、交流を深める過程で私がそれまでに歩んできた人生はまるごと変わりました。
様々な国の文化を見聞きし、体験する生活はたくさんの発見と喜びに満ちています。
自然と目に入る景色だけでなく、人とのつながり方、自分の心との向き合い方に、休息の楽しみ方。
私は目の回るような中高大を経て、海外で初めて「自然体であることを楽しむために、休息を上手に取る生き方」に触れたのです。
私の心は深い、深いところからからじんわりと、温かく癒されていきました。この癒しの力は絶大で、霧が晴れるようにして視界は開け、心が軽くなっていきました。
現在、私はダブリンでの修行を終え、アイルランドで出会ったパートナーと共に移住し、彼の故郷であるオランダの小さな街、ドルドレヒトに住んでいます。
国境を超えて人との交流するなかで、肩の力を抜くことや日々を楽しむことを、自分に少しずつ許してあげられるようになりました。
困ったときは誰かに頼ってもいいという考えも、今ではだいぶ受け入れられるようになってます。
夢に向かって努力することは大切ですが、身体と心を大事にしながら進む暮らし方を学び中です。
力を振り絞って、頑張って辿り着いたその先で見たのは、意外にも「頑張りすぎない」生き方でした。
たくさんの学びと気付きをもたらしてくれている、異文化交流。
「異文化は癒し」をモットーに、このブログを通して、「文化や言葉が違っても心は通う」こと、また様々な人と交流するなかで「生きづらさは超えていける」ことを伝えていきたいです。
私のブログを読んでくださる皆さんにとって、私のストーリーから何かヒントとなることを見つけていただけるなら、とても嬉しく思います。
菅原美和子
シリーズ: オランダ移住劇2020 、始まります。
Ep. 1 オランダ移住当日。アイルランド生活最後の日 その1 – MiwaKosmic | 異文化は癒しだ
Pinはご自由にどうぞ!
Pinterest用↓